「評価される転職理由を考えたい」
と思ったけど、
「転職理由ってネガティブなことを話して良いの?」
「そもそもどう伝えれば、相手にちゃんと伝わるの?」
と悩んでしまう人も多いようです。
そこで今回の記事では、これまで多くの方の転職を支援してきた
キャリアコンサルタントの加藤様に
転職理由の正しい考え方と表現方法
について伺ってきました。
- 面接で失敗したくない
- 転職理由をちゃんと伝えられるようになりたい
という方は是非プロの意見を参考にしてみてください。
登場人物
加藤 真(かとう まこと)
株式会社リンクスタッフィング
人材紹介ユニット/ユニットリーダー(人材コンサルタント)
人材会社出身でインタビューが趣味のエス
転職理由はネガティブな理由が基本
本日は、面接でよく聞かれる質問の転職理由について、お教えいただきたいと思っております。よろしくお願いします。面接官に前向きな姿勢をアピールするために、ポジティブな転職理由を用意する必要があると思うのですが、加藤さんもやはり、そのようにお考えでしょうか?
答えは「ノー」です。転職理由は、ネガティブな理由が基本です。
なぜか?というと、今の状況が順風満帆で意欲的に過ごせているのに次に移る意思決定をしようとしている人って、転職の面接官にとっては、評価が低くなってしまうんです。「この人はコンディションが良くても、他の興味対象が見つかれば、すぐに他所にいってしまう方なんだな」というになっちゃうので。転職理由の基本は、辞めなければいけない、ネガティブなものが存在することからのスタートになると思います。
もちろん、数ある企業のなかには、「ジョブホッパーで全然OK、在籍期間にさえ、仕事に向き合って頑張って結果出してくれれば問題なし」という会社も存在しないわけではないです。ただ、面接官は一般的に、今まさに転職を判断しようとしている人と対峙しているのにも関わらず、「うちの会社に入ったら、なるべく転職してほしくないな、ずっと居てほしいな」と考えてしまうものです。宿命的な矛盾を孕んでいると言えますね(笑)
ネガティブな転職理由を面接で話しても良いんですか?
なるほど。どんどん転職しても大丈夫な会社って、レアですもんね。おっしゃることは分かります。そうは言っても、ネガティブなもので、言っちゃいけないものもあるんじゃないですか?
どんなものであったとしても、言っちゃいけない言い方があるのは確かだと思います。ネガティブな理由そのものではなくて、伝え方が重要ということです。
ちょっと説明します。個人が組織を選ぶ判断要素が4つあると言われています。
- 基盤:その組織や団体の理念戦略や培ってきたブランド力・規模の大小等
- 活動:仕事内容、事業内容
- 構成員:一緒に働く人、その人々が集まり、形成された組織全体の風土
- 条件:制度待遇という人事評価制度、給与水準の妥当性、設備環境という、就業環境の快適さや立地条件や備品設備などの整備状況等
上記の要素のうち、どれを重視しているのかが、今の会社に残るか/今の会社から離れるか/次の会社に移るかを説明する要素になっているということですね。
話を戻すと、好ましい転職理由表現・言い方は、叶えられていない要素がなぜ重要なのかの背景説明に説得力があります。つまり、自分のこれまで培ってきた価値観への言及があるかということですね。
反対に、好ましくない転職理由表現・言い方は、不満であるシーンのダイジェスト披露に陥り、自分は悪くない、悪いのは自分以外という他責の考え方が窺えてしまいます。「他責傾向の人」と一度ラベリングされてしまと、その印象を剥がし取るのは至難の業です。
なるほど、ただ愚痴を言っているように聞こえるわけですね。
転職理由をどう表現しようと考えあぐねている人がいたら、改めて、さきほどの各要素を自分なりに検討・振り返りをしてほしいですね。その要素項目をなぜ重要視するのかっていうのは、自身の起源のようなものだと思います。ずっと大切にしてきた考え方、影響力の強い他者から受けた教え、記憶に色濃く残る原体験、長い間ずっと継続してきた行い、過去から想い描いてきた将来像などですね。
そういうの、ちゃんと言える人は極めて少ないので、「そんなにあなたは、その要素を重視するのにそれが叶えられなかったんだね」っていう納得を得られやすい。不満シーンを全く言わないのは難しいですが、それが自分にとって、どう合わないのかっていうことが言えないと…不満たらたら人材に見られちゃうかなっていうことです。
だから、加藤さんは、相談者と面談するときは過去の深掘り丁寧にされるんですねー。
転職理由探しは自分が何を大事にしているかを考える作業
過去の選択傾向を知りたいので、なぜ過去にそれを選んだのか、それを重要視したのはなぜなのかっていう背景を理解したいという気持ちは強いです。それが、面接対策のテーマになったり、企業への推薦状のコンテンツソースになったりするんです。大切にする要素がある程度分かれば、「では、あなたの大事なのって、一緒に働く人ですよね」とか、「やっぱり取り組む内容・中身が重要だから…ミッションに納得できないと前に進めないタイプということってないですか」みたいな双方向の確認を相談者の方と面談時に一緒に言語化・整理していくプロセスをとても大事にしています。
それを基に自己紹介、転職動機、志望動機をストーリーとして紡ぎ、磨きあげるお手伝いをしていますね。それ以外の面接で応える内容においても、自分を過不足なく、しっくりとしたはまりの良い表現で伝達できるかどうか、全部が繋がってるんですけどね。まとめると、転職理由は、何を自分が重要視するかの起源みたいなのを自分なりに整理して、その重視している要素がかなえられない、満足できない状況があるというのを、わかりやすい表現でまとめられているかというのが肝ということです。
確かに重要度の観点でちゃんと退職理由語れてない人の話とかって愚痴っぽくって…イラッとしますよね。笑
「大変なのはよく分かるんだけど…」っていうのはありますね。聞いてて、おもしろくないというかね…
どんどん、溢れ返ってくるように、不満がでてくる方っていますよね。
まだ知り得ない、自分の価値観の深いところまでたどり着く努力をしてみようと…脊髄反射的に、嫌な状況をそのまま伝えちゃうという事態にならないようにということです。
価値観って結局自分が何を一番にするか、重要に思ってるのかっていうところを伝えないとうちの会社でなにしたいのかっていうことも視えてこないですもんね。
そういうことです!
自身の大事にしている要素とその理由をはっきり言っとかないと企業側にとっても、応募者側にとってもお互いに不幸が訪れます。「その転職理由の要素、うちにもあるんですよね…」って思ったら、会社側は採用しようと思わないですよね。会社側に転職理由で断られたらそれで御の字なんですよ。自分が大事にしていること、解消したい最重要事項がその会社では叶えられないということが分かるので。だから私はいつもサポート中の方に、「正直に言いましょうね、転職理由」って伝えています。
入社後のミスマッチをちゃんとなくすために、面接のなかでちゃんと伝えておけば、お互いに後で不幸な思いをしないですもんね。
「そういう要素を大事にされている○○さんと一緒に働きたいんだよ」って企業側にも思ってもらうところに行かないと。企業と応募者の騙し合いみたいな状態、悲惨ですもんね…。そうならない為に我々エージェントの介在する意義があると個人としては思っています。 企業側は判断するんですけど、応募者側にも同じように判断するという視点を持ってもらうというのが、大切かなと思っています。
そのために自分も理解しなきゃいけないし、自分の言葉で言えなきゃいけないし、ちゃんと伝えなきゃいけないし、ということですね。こうやって聞くと加藤さんの面談の深さが見えてきますね!笑
いえいえ、とんでもないです。
結局ネガティブな部分っていうのも自分の中でも理解はして、それをちゃんと重要度、優先度決めて、自分の言葉でちゃんと伝えていくと。それを否定されたらもう仕方がないぐらいの気持ちでいいということですよね?
そうです。Aという理由で辞めるのにそのAという理由が存在する会社に行ってもしょうがないですからね。
いそう…そういう人。笑
いそうじゃないですか?「応募要項に書いてあった求める人物像に合わせて、そういう人になりすまそう!」みたいな。でもそれで受かっても、その装飾を施した面接用の自分で、入ってからもやり続けることは、なかなかしんどいと思うんですよね。
けど、もともと合わないっていうところが相手側に判断してもらえればそれでフィルターかかりますもんね。
そういうことです!
なるほど!ありがとうございました!
転職理由の考え方まとめ
転職理由はネガティブでOK。というよりもネガティブで当たり前!
ただ、なぜその転職理由に至ったのか、自分が何を大事にしているかという視点から考えることが大切。自分としっかりと向き合って、これから何を大事にしていきたいかを整理しよう!
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今回インタビューさせていただいた加藤さんは、これまで自身が営業・新規事業経験を積んで来たベテランキャリアアドバイザーです。これまで3,000人を超える転職・キャリア相談にも乗られて来たので、是非相談してみてください!